楽天モバイルが潰れる&事業撤退する可能性と今後を分析。

目次

楽天モバイルが急に事業撤退・潰れる可能性はあるのか?

楽天モバイルは2020年に新規参入を果たした第4の携帯電話事業者(携帯キャリア)です。

2020年4月に本格サービスを開始

出典:楽天モバイル公式サイト

2019年の新規参入以降、月額料金の安さで人気度を上げていますが、報道機関からは度々モバイル回線事業の赤字問題が取り上げられていました。

楽天モバイルが急に潰れたり事業撤退してしまう可能性はどれくらいなのか?もし撤退した場合、楽天モバイルで買ったスマホやモバイル回線はいつまで使えるのかが心配。

楽天モバイルの経営状況の見通しだけでなく、実際に楽天モバイルを利用する筆者が回線品質・サービス品質の面から楽天モバイルの持続可能性を解説します。

いきなり結論

楽天モバイルが潰れる・事業撤退してしまう可能性は2020年の参入当初と比べて大幅に減少した。2025年には楽天モバイル事業単独で黒字化を達成。黒字転換ラインの目安としていた契約回線数800万回線にも到達している。

楽天モバイルが潰れると言われてしまう主な理由

楽天グループの中でモバイル回線事業は赤字が続いているから

楽天グループが2025年2月14日に発表した業績発表では、2024年10-12月期の四半期のグループ全体の収支は121億円の赤字となりました。

ブルームバーグの報道

楽天グループが14日に発表した2024年10-12月(第4四半期)の純損益は121億円の赤字だった。

第4四半期のモバイル事業は前年同期に比べ赤字幅が縮小。

出典:楽天G、4Qの純損益は121億円の赤字-モバイル改善も利払い重く | Bloomberg

2019年の新規参入以来楽天グループ全体とモバイル回線事業(楽天モバイル株式会社)の事業収支は赤字が続いています。

楽天モバイル事業は楽天市場など主力の黒字事業を多く持つ楽天グループ全体の業績を押し下げる一因になっています。

MVNOタイプのモバイル回線事業じゃないから巨額投資が必要

格安SIM(MVNO)は、大手携帯キャリア(MNO)の回線のリソースを借りて、使用したリソース分の使用料を払い、消費者に格安なモバイル回線プランを提供する形式の事業です。

MVNOなら基地局の整備費用が一切不要になり、集まった顧客の数に見合った回線使用リソースを仕入れれば事業が成り立つので、巨額の赤字にはなりづらいです。

事業タイプ プラン・ブランドの例
MNO(携帯キャリア)
  • ドコモ
  • KDDI(au)
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル
MVNO
  • IIJmio
  • 日本通信SIM
  • マイネオ
  • QTモバイル
  • イオンモバイル
  • LINEモバイル

等多数

MNO提供の格安プランの例
  • ahamo
  • povo
  • LINEMO
  • ワイモバイル
  • UQモバイル

楽天モバイルはドコモ、KDDI、ソフトバンクに続く4社目の携帯キャリアとして2020年4月に本格参入した後発組のモバイル回線事業者(MNO)です。

携帯キャリアとしての新規参入には全国への携帯基地局の整備とネットワーク設備への投資など巨額の先行投資が必要です。

携帯基地局の鉄塔には大掛かりな構造のものも多い

回線契約者数が他の3キャリアと比べて少ないから

ドコモ、au、ソフトバンクの契約回線数は楽天モバイルとは1桁スケールが異なり、楽天モバイルの契約回線数は他社より大幅に少ないことがわかります。

国内大手4キャリアの回線契約数を比較

ドコモ 9040万回線
KDDI(au) 7034万回線
ソフトバンク 5479万回線
楽天モバイル 890万回線

楽天モバイルは直近の事業説明会で890万回線を突破したことを公表しています。

楽天モバイルの契約回線数のみMNOプランとMVNOプランの合算。)MVNOプランは現在契約することができない)

ドコモ、au、ソフトバンクは一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)で公表されているデータを表示。

このことから、楽天モバイルを契約しても

  • いずれ潰れてしまうのではないか?
  • いずれモバイル回線事業を撤退してしまうのではないか?

と言われてしまうことがあります。

楽天モバイルが潰れるリスクは資金力の面では非常に低い

楽天モバイルが今後5年以内に潰れたり急なモバイル回線事業撤退を余儀なくされる可能性は非常に低いです。

携帯キャリア(MNO)事業は国の電波行政から許可された事業

携帯キャリア(MNO)事業は電気、水道、ガス、電話回線、ネット回線のような社会の中で重要な設備(インフラ)の1つです。

小型の携帯基地局のアンテナ

携帯キャリア事業はどんな会社でも簡単に参入できるわけではなく、参入には国からの許可(免許)が必要です。

日本国内で国から許可を受けている携帯キャリア事業は2025年現在も

  • ドコモ
  • au
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル

の4社しかありません。

電気や電話回線のような重要なインフラ設備の提供会社として参入しているので、突然事業撤退で潰れてしまうリスクは低いです。

仮に業績不振が続いたとしても、携帯キャリア事業者は財政面でもさまざまな支援を銀行などから受けられる可能性が高い。

過去には潰れた(事業撤退)した携帯キャリアが存在する

スマートフォンが主流となる前の時代、ガラケー/PHSのサービスを自前の基地局で提供する携帯キャリアは今よりも多く存在していました。

  • イーモバイル(イーアクセスが設立した新規参入キャリア)
  • ウィルコム(PHS大手キャリア)
  • アステルグループ

など今では聞きなれない企業名が多数

その中でも、イーモバイルは携帯キャリア未参入企業が新規参入を果たして業界に風穴を開けようとした点が楽天モバイルと似ている部分があります。

イーモバイルのロゴ

しかし、2005年に新規参入を果たしたイーモバイルは資金繰りで行き詰まり2012年にソフトバンクに買収されてしまいました。

過去に撤退したイーモバイルよりも資金力が高い

楽天モバイルはイーモバイルと比べて母体となる親会社の経営規模が大きく勢いがあります。

楽天グループはイーモバイルの母体企業だったイーアクセスと比べて、通販・金融など収益性の高い人気の事業を多く持っているため豊富な資金力があります。

楽天市場、楽天Pay、楽天銀行、楽天カードなど

楽天モバイル事業で赤字が続いている状況でも他の事業で高い収益をあげているため、企業として倒産するリスクは非常に低いです。

2025年現在参入当初よりも楽天モバイルが事業撤退する可能性が大幅に減っている

楽天自社回線の回線速度や品質は年々良くなってきている

楽天モバイルは2020年の新規参入当初は自社回線エリアが狭く、日本国内のエリアの大半をパートナー回線(KDDI回線へのローミング接続)に頼っていました。

当初は楽天モバイル自社回線の速度やつながりやすさがドコモ、au、ソフトバンクと比べると大きく劣っていましたが、年々その差は縮まってきています。

出典:楽天モバイル

楽天モバイルの回線バンド

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2025年現在、楽天モバイル自社回線が繋がるエリアは大幅に拡大し、5Gが使えるエリアも急速に拡大しています。

楽天モバイルの5Gエリア

出典:楽天モバイル

薄いピンク色のエリアは4G(LTE)、濃いピンク色の狭いエリアが5G Sub6のエリアです。

赤字脱却ラインとして意識していた800万契約越えと事業単体収支の黒字を実現したから

楽天モバイルの契約回線数は890万回線以上、赤字から黒字に転換できる目安として楽天モバイルが意識していた800万回線を超え、事業単体での収支(EBITDA)は単月黒字化を実現しました。

子会社の楽天モバイルのEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)が単月で黒字化するなど、モバイル事業の改善は着実に進んでいる。

出典:楽天G、4Qの純損益は121億円の赤字-モバイル改善も利払い重く | Bloomberg

回線品質と料金のバランスが良いので契約者数増加が続く可能性が高いから

若い世代の人口が多い首都圏、関西圏、政令指定都市エリアでは他社キャリアとのつながりやすさの差が縮まってきています。

そのため、回線品質と安さのバランスが良い魅力的なモバイル回線として、楽天モバイルの人気と契約者数の増加は今後も続くことが予想されています。

筆者は東京都23区内で楽天モバイルの電波をメインで使用しています。

楽天モバイルアプリのデータ使用量

楽天モバイル回線は安定して下り数十Mbps/上り10Mbps以上の速度が出ており、電波が悪いせい電話に出られないこともほとんどありません。

通話品質も改善

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東京都渋谷区(筆者撮影)

楽天グループ全体で利益を上げる構造だから

さらに、楽天モバイルは他の楽天サービスとセットで使ってもらうことでグループ全体で利益を上げる構造になっています。

楽天モバイル利用者は楽天市場、楽天カードの利用で特典やキャンペーンの恩恵を受けられるため、楽天モバイルをきっかけに他の楽天サービスを使い始める人も多い。

万が一楽天モバイルが潰れた場合もモバイル回線や買ったスマホは継続して使える

モバイル回線や電話が急に使えなくなることはない

携帯キャリアが事業撤退を行う際、

何の予告もなく倒産したり、ある日突然電波が届かなくなってしまい電話もできなくなる..

ようなことが起こる可能性は限りなく低いです。

万が一楽天モバイルの事業撤退が発表されたとしても、すでに契約してモバイル回線を使っているユーザーのサービス停止日は余裕を持ったスケジュールで案内されるでしょう。

楽天モバイルで購入したスマホには何の影響もない

楽天モバイルから購入したスマホは、仮に楽天モバイル回線が事業停止で使えなくなっても使い続けることができます。

楽天モバイルで販売されているスマホは歴代の全機種がSIMフリーで発売されているので、簡単に他社に持ち込んで使うことができます。

乗り換え先はドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイル、UQモバイル、格安SIMの中から選べる

乗り換え先のスマホ回線を検討する時間も十分にある

国から免許をもらって提供している重要な事業なので、年単位でサービスの停止が計画される可能性が高いです。

その間に乗り換え先の携帯プランをじっくりと考えることができます。

携帯キャリアは経営不振でも事業売却でサービスが継続される例が多い

過去の歴史を振り返ると、携帯キャリアが経営不振で撤退する場合はライバル企業の他社がその企業を買収し、顧客とネットワーク設備を手にいれるケースがほとんどです。

携帯キャリア

  • デジタルホングループ(日本テレコム)→英国ボーダフォンが買収
  • ボーダフォンが経営不振→ソフトバンクが買収・新規参入
  • PHSのウィルコム→ソフトバンクが買収
  • 新規参入キャリアだったイーモバイル→ソフトバンクが買収

格安SIM

  • LINEモバイル→ソフトバンクが買収、現在LINEMOを提供

ソフトバンクはYahoo! Japanブランドのライセンスとイーモバイル、ウィルコムのネットワーク設備や経営資源を組み合わせて格安スマホ回線サービスのワイモバイルを立ち上げました。

ワイモバイルやLINEMOもソフトバンクが提供するモバイル回線ブランドです。

出典:ソフトバンク

イーモバイルとウィルコムはソフトバンクに買収された後、ワイモバイルへのブランド変更を経て事業が継続されています。

2010年12月
ウィルコム、ソフトバンク株式会社が全株式を取得

2013年1月
イー・アクセス、ソフトバンクとの株式交換完了

2014年6月
イー・アクセス、ウィルコム合併

2014年8月
Y!mobileサービスを開始

出典:沿革(旧ワイモバイル株式会社)

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