今さら聞けないSSL/TLSの基本と導入の全知識

SSL/TLSの基礎知識

SSL/TLSとはWebサイトの安全性を高める暗号化技術のことです。

「うちのWebサイト、セキュリティは大丈夫かな…」

「SSL対応しないと、お客さんに安心してもらえないかも」

サイトを運営している方なら、こんな不安を感じたことがあるでしょう。

インターネットを利用する上で、Webサイトの安全性と信頼性はますます重要視されています。

特に個人情報や機密データを扱うサイトでは、通信内容の暗号化が不可欠です。その中心的な役割を担うのがSSL/TLSです。

本記事では、SSL/TLSの基礎知識から導入のメリット、具体的な設定方法までをわかりやすく解説します。

SSLの導入は思ったほど難しくありません。

これからWebサイト運営を始める方や、セキュリティ強化を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

SSL/TLSの基本情報

まずは、SSL/TLSがWebサイトとユーザー間の通信をどのように保護するのか、仕組みや役割について解説します。

SSLとTLSの違い

SSLはインターネット上で安全にデータをやり取りするために開発された暗号化技術ですが、現在では後継のTLS(Transport Layer Security)が標準となっています。

TLSはSSLの弱点を補強し、より強固な暗号化や認証方式を採用。現代のWebブラウザやサーバーではTLSが主流で、SSLという名称は慣習的に使われているだけです。

なぜSSL(TLS)が必須なのか

2025年時点では、Webサイトの約88%がHTTPS(TLS)を導入しています。

SSL未対応サイトは主要ブラウザで「保護されていません」などの警告が表示され、ユーザー離脱や売上減少につながるため、導入は必須です。

さらに、個人情報やカード情報の漏洩リスクを高め、ユーザーの信頼を大きく損ないます。

カード会社や決済代行会社もSSL導入を義務化しており、SSLがないとクレジットカード決済の導入自体ができないケースが大半です。

SSL/TLS証明書の導入は、ユーザーの信頼獲得やSEO対策、法令遵守、決済機能の利用など、あらゆる面で不可欠な要素となっています。

SSL/TLSの仕組み

目的は通信の保護

SSL/TLS通信は、サーバーとブラウザー間の通信を暗号化し、第三者による盗聴や改ざんを防ぎます。

通信開始時に「SSL証明書(正確にはTLS証明書)」が提示され、公開鍵暗号方式で共通鍵を安全に交換。その後は共通鍵暗号方式で高速な暗号化通信を行います。

公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式のハイブリッド利用により、安全性と効率性を両立しています。

特にクレジットカード情報や個人情報を扱うサイトでは、証明書の導入が必須です。

SSL/TLS証明書の種類

SSL/TLS証明書には以下のような種類があります。

証明書の種類特徴・用途例
ドメイン認証(DV)ドメイン所有者のみ認証
個人・小規模サイト向けで無料証明書も多い
企業認証(OV)企業の実在性も認証
法人・ECサイト向け
EV認証(EV)厳格な審査あり
大企業・金融機関など高信頼性サイト向け
ワイルドカードサブドメインを一括で保護
マルチドメイン複数ドメインを1枚で保護

現在、無料SSL証明書が広く普及しているため、個人や中小企業でもコストをかけずに導入可能です。

EV証明書の「グリーンバー」表示は主要ブラウザで廃止されており、証明書情報の確認は鍵マークや証明書詳細で行います。

費用の目安

証明書種別年間費用の目安
DV(無料)0円(Let’s Encrypt等)
DV(有料)数千円~
OV数万円~10万円程度
EV10万円~30万円程度
ワイルドカード通常の2~3倍程度

無料SSL証明書により、導入コストは実質ありません。

有料証明書はサポートや保証、ブランド力が重視される場合に選択されます。

証明書の有効期間

2025年以降、証明書の有効期間は短縮され、2029年には最大47日まで短くなる予定です。

運用の際は、自動更新の仕組みが必須となります。

SSL/TLSを導入するメリット

SSL/TLS導入によるメリットは以下の通りです。

  • 通信の暗号化により、カード情報や個人情報の盗み見・改ざん・なりすましを防止
  • 証明書による運営者認証で、フィッシング対策やショップの信頼性向上
  • SEO効果(GoogleがSSL対応サイトを優先的に上位表示)
  • リピーター増加やコンバージョン率向上など、売上アップにも直結

基本的にデメリットはありません。

以下、代表的なメリットに絞って解説していきますね。

情報流出のリスクを大幅に軽減できる

SSL/TLS導入により、Webサイトとユーザー間の通信が暗号化されて、第三者による改ざんやなりすましリスクが大幅に低減します。

実際、個人情報やクレジットカード情報を扱うサイトでSSL未導入が原因の情報流出事件は過去に複数発生しており、損害賠償やブランドイメージの毀損につながることもあります。

現在は無料SSL証明書が普及しているため、コストを抑えつつセキュリティを強化できます。

Webサイトの信頼性向上と集客力アップ

アドレスバーの「鍵マーク」や「https」表示は、ユーザーに安心感を与え、信頼できるサイトとして評価されやすくなります。

SSL/TLS未対応サイトは、主要ブラウザで「保護されていません」と警告表示されるため、ユーザー離脱率が上昇する傾向があります。

実際にSSL導入後、問い合わせフォームの離脱率やECサイトのコンバージョン率が改善した事例も報告されています(離脱率30%改善など)。

検索順位(SEO)への好影響がある

Googleは2014年以降、SSL/TLS対応を検索順位の評価基準の一つとしています。

現在も、SSL化はSEOの「小さなシグナル」ですが、未対応サイトは順位が下がるリスクが高まっています。

ちなみに、SSL化による直接的な順位上昇は限定的ですが、ユーザー体験向上や離脱率低減など、間接的なSEO効果は大きいです。

HTTPS化によりHTTP/2が利用でき、サイト表示速度が向上する点もSEOにプラスです。

SSL/TLSの導入方法

導入方法がよく分からないと、難しそう…と二の足を踏んでしまうかもしれません。

ここでは、SSL/TLS導入に必要な手順について、具体的に解説していきます。

一般的な導入手順

主要レンタルサーバーでは、無料SSLの自動設定と自動更新が標準化されつつあります。

以下、一般的な導入手順を解説します。

SSL導入の手順はサーバー会社によって異なるため、詳細の手順は各社のマニュアルをご参照ください。なお、サーバーによっては、CSR作成や中間証明書の設定など追加作業が必要な場合もあります。

1.SSL証明書の種類選定

ドメイン認証(DV)、企業認証(OV)、EV認証(EV)、ワイルドカード、マルチドメイン型などから選択します。

2.証明書の購入または取得

無料(Let’s Encrypt等)や有料の証明書を選択可能。多くのレンタルサーバーやECプラットフォームでは無料SSLが標準提供されています。

3.CSR(証明書署名要求)の作成と提出

サーバーや管理画面からCSRを作成し、認証局に提出。画面の表示通り進めれば大丈夫です。

4.証明書の発行・インストール

発行後、サーバーにインストール。自動設定が主流ですが、手動の場合は慎重に作業して下さい。

5.http→httpsリダイレクト設定

すべての通信をhttpsに統一し、混在コンテンツ(httpリソース)を排除します。

以上で完了です。

余裕があればSSL Labs等のツールで動作確認・設定チェックしましょう。証明書は有効期限があるため、自動更新を推奨します。

エックスサーバーの導入例

人気レンタルサーバーである、エックスサーバーを例にSSL導入の手順をご紹介します。

1.サーバーパネルにログインし「SSL設定」を選択


2.設定ドメインを選び「独自SSL設定」を追加

無料SSLの場合は数分~1時間で自動反映

有料SSLの場合はCSR作成、証明書購入・インストール


3.サイト内のリンクをhttp→httpsに修正


4.htaccessでリダイレクト設定(常時SSL化)

SSL/TLS導入時の注意点

SSL/TLS導入の際は、以下の点に注意して下さい。

  • 証明書の種類選びは、サイトの規模や信頼性要件に応じて慎重に行う
  • 混在コンテンツ(httpの画像やスクリプト)は警告やSEO低下の原因になるため、すべてhttps化を徹底する
  • 証明書の有効期限短縮(今後は47日まで短縮予定)に備え、自動更新体制を整備する
  • 設定ミスやインストール不備は、表示障害や信頼低下につながるため、第三者のサポートも検討する

無料でSSL証明書を設定できる主なレンタルサーバー

レンタルサーバー会社では、無料でSSL証明書を取得・設定でき、サイトの常時SSL化を簡単に行うことができます。

設定方法は各社のコントロールパネルから数ステップで完了します。

ほぼ全ての主要レンタルサーバーが無料SSL(Let’s Encrypt等)に対応。自動更新機能が標準化されています。

以下、無料でSSL証明書を設定できる主なレンタルサーバーをご紹介します。

エックスサーバー

設定方法はサーバーパネルの「SSL設定」をクリック→設定するドメインの「変更」をクリック→「ONにする」をクリック。

他社サーバーからの移転時の事前設定も可能です。

お名前.comレンタルサーバー

設定方法はコントロールパネルの「セキュリティ」→「SSL証明書」から、SSL証明書をインストールしたいドメインを選択し「申し込む」をクリック。「無料SSL」を選択しましょう。

設定完了まで約1時間です。

さくらのレンタルサーバ

設定方法はコントロールパネルからワンクリックで簡単に設定可能。即日発行・自動更新に対応しています。

個人ブログ、小規模サイト、テスト用サイトなどに適しているレンタルサーバーです。

上記以外にも、

  • ロリポップ
  • カラフルボックス
  • ヘテムル
  • シックスコア
  • WebARENA

など、多くのレンタルサーバー会社が無料SSLを提供しています。

いずれも、管理画面から簡単に設定可能です。

まとめ

SSL/TLSは、インターネット上で情報を安全にやり取りするため現代のWebサイト運営において欠かせないセキュリティ技術です。

SSLとTLSの違いや仕組み、証明書の種類や費用、有効期間といった基本情報を理解することで、最適な導入方法を選ぶことができます。

また、導入することで、情報流出リスクの大幅な軽減、サイトの信頼性向上、SEO対策など多くのメリットが得られます。

導入の際は、証明書の種類選定から取得、インストール、リダイレクト設定までの手順を正しく踏むことが重要です。

主要なレンタルサーバーでは無料SSLの提供も進んでおり、コストを抑えつつセキュリティを強化できます。

今後も安全で信頼されるWebサイト運営のために、SSL/TLSの活用を積極的に進めていきましょう。

当サイトの運営者



BizPlusブログは、BizPlusが運営するWiFi・光回線・スマホ修理・ライブ配信アプリなどの情報を発信するメディアです。個人・法人のお客さまへ独自の通信サービスで支援を行ってきた経験を活かし、ユーザーのニーズを満たすコンテンツ作成を心がけています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次